• 稲穂

    このときのために。
    大切な米を収穫するために
    丸々一年の愛情をかけてきた。
    黄金色に輝く稲穂は
    そんな農家の集大成と言えるだろう。
    何とも言えない気持ちで稲穂を見つめては、
    安堵と感謝でいっぱいになる。
    このときのためにすべての事がある。

  • お盆

    顧(かえり)みること。
    先祖の霊を偲び、
    供養するお盆。
    最も大切なことは、
    お盆に家族が集まり
    供養を通じて
    自らを顧みることだと思う。

  • 七夕絵どうろうまつり

    情緒を灯す。
    京より嫁いだ姫君に、
    故郷の風景を模した、七夕まつり。
    今では大型の絵どうろうも、
    かつてはろうそくで灯していたという。
    竿灯まつりにも通じる、灯りの文化。
    そこには、
    儚い灯火に美人画を重ねるという
    東北人の奥ゆかしさがある。

  • 蝉の抜け殻

    初夏の思い出。
    蝉の声が聞こえるようになると、
    虫カゴ片手に家を飛び出した。
    夕方、カゴいっぱいに抜け殻を集めては、
    勲章のように自慢をする。
    今でこそ、集めたりはしないが、
    ふと目にすると、ほっとする。
    今年もいたんだな、と。

  • 梅雨

    雨の出来事。
    ぽつぽつと、
    雨音がする。
    空が霞み、
    トーンを下げる。
    草木を濡らす雨粒が、
    緑の色を深くする。
    雨どいを伝う雨が、
    かりんの実を打ち付ける。
    雨音とともに
    様々な出来事が起こる。